かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「それに、ピンバッジの裏にある番号についても、国際カスタマーアドバイザーコンテストの審査員長がたまたま俺の友人だったからわかったことだ。元コンサルタントのよしみでコンテストの授賞式にも何回か来賓で招待されたこともある」

「そうだったんですか……」

え? コンテストの授賞式に来賓で招待された?

そのとき、ふと以前夢で見た光景を思い出した。二回も同じ夢を見ることも珍しいけれど、確かにあれは授賞式のときの夢だった。そして私はもしかして?というとある予感に、それを口にせずにはいられなかった。

「あの、長嶺さん、私の授賞式のとき……ひょっとして私と会いませんでしたか?」

「え……? なんだって?」

それを聞いた長嶺さんは眉を跳ね上げ、目を大きく開いて瞠目した。

「私、夢で見たんです。信じられないかもしれないですけど、同じ夢を二回も……授賞式でたくさんの人に囲まれて、その中に男の人がいて……急いで声を掛けるんですけど、どうしても顔が不鮮明で……でも、今考えるとなんとなく長嶺さんに雰囲気が似てたような……」

ああ、何言ってるんだろ……。

こんな夢の話、長嶺さんにとってはどうでもいいことかもしれない。呆れた顔をしているかと思いきや、長嶺さんは驚きで硬直したまま私を見つめていた。

「君、もしかして……あのときのことを覚えているのか?」

「え?」
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