かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
恭子さん、いい人なのに。長嶺さんはきっとなにか勘違いしてるんだよね。それに幼馴染じゃない、近づいちゃだめな理由なんてないよ。

「じゃあ、今度書類持ってきますね。よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げて彼女を見ると、やはり表情もなんとなく浮かない感じで切なげに睫毛を揺らしている。

「あの、場所移動して飲み直しませんか? まだ時間もあるし……」

「ごめんなさい。私、そろそろ帰らなきゃ、あんまり遅くなるとうちの猫ちゃんがやきもち妬くの」

「そうですか……」

猫ちゃんを口実に断られた気がして一瞬胸がチクリとした。恭子さんの様子も引っかかる。

考えすぎ、だよね……。
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