かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「芽衣、何度も言うが……こいつのタイプは年上で自分よりも背の高い、包容力のあるオジサンだ」

「オジサンじゃなくてオジサマだから」

恭子さんがムッとした顔でジョッキビールを呷った。そして。

「冬也、芽衣さんのこと泣かしたら絶対に許さないからね、次は本気で奪いに行くから」

「お前に言われなくともわかってるさ。あ、そうだ思い出した。恭一郎、芽衣の額に妙な真似したよな?」

「ちょ、男の名前で呼ばないでって言ってるでしょ、わざとね? 意地悪。まったく冬也は相変わらず根に持つわねぇ……そういうの、嫌われるわよ?」

恭子さんにグサリと言われて長嶺さんが口を真一文字に結んで押し黙る。そのふたりのやり取りがおかしくてついクスッと笑ってしまう。

「おい、芽衣、なに笑ってるんだ?」

長嶺さんに横から肘で小突かれて、ますます笑いを堪えきれなくなる。

出会った頃は彼がこんなにも感情を表に出す人だなんて思わなかった。

「とにかく色々あったけど、おめでとうお二人さん」

恭子さんにひと足先に祝福されて、三人のグラスが中央で重なる。

「あ、そうそうさっきSNSで面白い画像見つけちゃったの、これ見て」

恭子さんがスマホをスクロールして、私たちに見せたのは……。

「ぷっ、ああ、こんな画像が拡散されちゃ、あいつも恥ずかしくてしばらくはおとなしくしてるだろうな」
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