かりそめ婚ですが、一夜を共にしたら旦那様の愛妻欲が止まりません
「はい、その通りです。でも、なんでわかったんですか?」

「これだけ水気が多かったら考えられることは限られてくるだろ? それに、麺は洗ったらちゃんとザルかキッチンペーパーで水気を取って、それから焦げついたのは火が強すぎたからだろ? そのときはすぐに弱めればいい。よっと」

長嶺さんがフライパンを振って器用にひっくり返すと、先程まで焼きそばになりそこねていたものがお好み焼きに変身を遂げていた。溶き卵に火が通って綺麗な焼き目がついている。

「わぁ……なんだか見違えましたね、美味しそうです」

「何事も上達するには失敗することだ」

「そうですけど……でも、さっきのはさすがに……」

失敗したものを長嶺さんに食べさせるなんてできない。かと言って、材料に申し訳なくて捨てるわけにもいかず、どうしようかと頭を悩ませていた。だから、こんな美味しそうに変身を遂げてくれて正直ホッとしている。

「今日は昼を食いそこねたから、俺も腹が減ってるんだ」

お皿に切り分けられたお好み焼きに鰹節と青のりをパラッとさせたら出来上がり。

ダイニングテーブルではなくカウチに座って、長嶺さんが作ってくれたお好み焼きを堪能する。
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