【短】舞散れ、冬の香り。
こんな私だって、好きな人には従順でありたいと思ってきたし、尽して支えて、それこそ良きパートナーになれるように努力していくタイプの女だ。
…結局、彼にそれは届かなかったけれど…。
私は書類の入った少々重いファイルを、いくつかデスクから持ち上げて、はぁ…と小さく溜息を吐く。
あー…彼のことも、古松くんのことも頭の中にチラチラ、チラチラ浮かんでは消え浮かんでは消え、ちっとも、落ち着かない。
こんなんじゃ、仕事にも差し支える。
そんなことを思いつつ、コツコツとヒールを少々大きめに鳴らし、廊下を進んで資料室に入ると、そこには………。
「や。内海さん」
なんて、バッドタイミング状態で、古松くんが現れた。
「こんな所でおサボりですか?古松くんは。良いご身分ね?」
ちくり
嫌味の一つを、と口を開いても古松くんの笑顔は変わらない。
なんだって、こいつはこうも人の心を逆撫でるような笑みを…私に掛けるのか。