【短】舞散れ、冬の香り。
「いやいやー…おサボりじゃあないよ?ちゃーんとお勉強中。ほら…」
パサリ
と、私に一冊の薄いファイルを寄越してから、私の抱えていた重い三冊分のファイルを自分の方に引き取った。
「あれ?これ…次のプレゼン資料?」
「そ。今まで作成してたとこ」
「こんなの、私に見せちゃっていいの?随分余裕じゃない」
やっぱりこいつは厄介な敵だ。
そう思って、眉間にシワを寄せてると、くすくすと笑われた。
「バカにしてる?」
「や、今までで一番可愛い顔してるから…つい」
「は?」
「あははっ。内海さんて、本当に可愛いよね」
「だから…」
そう、反論しようと身を引き掛けたら、不意にテーブルに付いていた指を、古松くんが手の平でそっと押さえた。
「ちょ…?!」
「強がってる内海さんも、その裏側も…俺は好きだと思ってるんだけど…それって、そんなにいけないこと?」
な…にを宣うんだ、こいつは。
そう言ってやろうとして、それでも咄嗟に言葉が出ず、口をパクパクさせている私に、古松くんは楽しそうにこう告げてくる。
「内海さん、弱ってる所に付け入ってると思ってくれて構わない。だから…俺と付き合ってくれませんか?」
どこをどうしたら、こんな展開になるのか、頭が真っ白になる。
それでも何か言わなくては…。
と、彼の方を見たら、笑っていてもとても真剣な視線と思い切りぶつかってしまった。
「………」
「イエス?それともノー?言ってくれないと…受け入られたって、勘違いするよ?」
「…ばか」