【短】舞散れ、冬の香り。
なんていう、核心を突いた一言。
私は思わず頬が赤くなる。
それを隠して髪を掻き上げた。
「そんなこと…」
「何時だって、前を向いてさ。頑張ってる、ね?」
ぽん
そう言って頭を撫でられ、私は余計に顔が赤くなった。
自分一人で戦ってるのは、全て彼との未来のためだった。
自立して、正々堂々と胸を張りながら仕事をしてる私が好きだと言ってくれた、彼の言葉を信じていたからだ…。
将来、家庭に入ったとしても、必要最低限の彼へのケアをしたい…そう思っていたから、その一心で私は今まで戦ってきたんだ。
なのに…。
あんな裏切りはないだろう。
なよなよと、細い腕を彼に絡ませ、潤んだ上目遣いで、私のことをまるで鬼を見るような目で見つめた…女性。
明らかに、その若さと猫を被った要領のいい態度で、彼に取り入ったんだろう。
吐き気がする。
私は、そんな弱者を装う彼女に向けて、これでもかというほどキツイ視線を送る。
「加奈恵、ごめん…」
そんな私に対して、彼は私ではなくて彼女を擁護した。
私は……負けたんだ。
そう思ったら、何もかもが色を失った。