【短】舞散れ、冬の香り。
二人が立ち去った後も、私はそこにしばらく佇んでいた。
なんで?
どうして?
何がどう間違えて、こうなってしまったの?
「…ふっ……ぅ」
つつ、と不意をついて零れた涙は、どんどん大きな波を連れて溢れていく。
止めどないその勢いに、私は瞬きも忘れ泣き崩れたんだ。
裏切りは大罪だ。
それは、人として…男として…。
別に彼女と私を比べるつもりはない。
私が培ってきたスキルに傷を付けるだけだから。
だけど。
結婚という、人生における最大に近い転機を、互いに意識していただろう…あの期間。
もしかしたら、揺れながら片手に彼女を抱いていたのかもしれないと思うと、更に悲しみが胸を締め付けて、どうしようもなかった。