愛は、つらぬく主義につき。 ~2
8-1
『で、つまり? 謹慎中で無職で、専業主婦になったってこと? 結婚式前にいろいろ大変そうね』

詳しくは話せないから。かいつまんで端折(はしょ)って、今の状況を説明した結果。スマホ越しの紗江の声は怪訝さと呆れが入り混じって聞こえる。

『ゴールデンウィークは実家に帰るつもりだけど外出許可はくれるの?、ダンナさまは』

「うーん・・・紗江だったらいいって言うかな。訊いてみるね」

言ってる自分の声がどことなく弱々しい。

あれから真は怒ってはないし、普通は普通なんだけど。なんていうか。飴とムチの切り替えが容赦ないっていうか、ときどき笑いながら目だけで殺されるっていうか。内心で深い溜息を吐く。ある意味、仁兄の上を行く気がするよ・・・・・・。

『見た目に似合わず亭主関白よねぇ』

「今まで勝てた試しないもん」

『なんかそれも遊佐クンの場合、単なる宮子LOVEって感じ』

クスクスと返った。



前は二人で週末に哲っちゃんちに泊まりに来てた生活も逆転して、マンションに戻るのは週末。

平日は朝、哲っちゃんと真を送り出してから瑤子ママと分担して、掃除洗濯の家事労働。そのあと実家に顔を出しておばあちゃんを手伝ったり、事務所の掃除や整頓をしたり。

お父さんは何も言わなかったけど、おばあちゃんには『妻としての自覚が足りない』ってひと言、お灸を据えられた。
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