【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
翌日。連れ立って登城したエルシーとアーネストは、早速、謁見室へ呼ばれた。城には大小いくつかの謁見室があり、そのうちの一番小規模の部屋だ。応接間のような間取りと家具の配置のため、君主との距離は近い。
「陛下におかれましては、ご健勝のこととお慶び申し上げます」
「ありがとう。よく来てくれたね。セルウィン公爵夫人」
国王ジェラルドは、挨拶を述べたきり、ドア付近で立ち尽くしているエルシーにソファへの着席を勧めた。しかし、この国の最高位の人物と、こんなに近いことが恐れ多く、エルシーの足はなかなか前に出ない。見かねたアーネストは彼女の手を取って誘導しソファに座らせると、自分もその横に腰かけた。
その間に、ジェラルドは侍従たちをすべて退室させた。この空間には三人しかいないことが、余計にエルシーの緊張を高めていく。テーブルを挟んでいるとはいえ、至近距離に国王が座っていることに恐縮して、なかなか視線を上げられない。
「きみはもうグローリアの侍女ではない。今日は私の大切な客人だ。そして何より、ここにいる親愛なる騎士団長の奥方だ。私も、これから君を友人だと思うことを許してもらえるかな?」
「そんな、陛下を許すだなんて、そんな恐れ多いこと……っ」
エルシーが慌てて顔を上げると、目が合ったジェラルドがにっこりと微笑む。
「では早速本題に入ろう。アーネストから大体のことは聞き及んでいると思うが」
ジェラルドの説明は、ほぼ昨日アーネストから聞いた話と一致していた。