【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
翌日の朝食後。
片付けを終えたエルシーが洗濯物を抱えて水場に行こうとしていた時、ルークが慌てた様子で駆けてきた。
「ルーク、走ってはダメだと--」
「姉様、お客が来てる!」
「……お客様……?」
この家を訪ねる者は、滅多にいない。エルシーは首を傾げた。
「それが、騎士団の人なんだ。たぶんあの服装は」
おかしい。うちには騎士と知り合いの者はいない。王宮では王女つきの近衛騎士と毎日顔を合わせてはいるが、個人的に話す間柄の者はおらず、たとえ伝達事項があるにしても王宮で交わせばすむ話だ。
「母様と姉様に用があるらしいんだ。でも母様はさっき横になってしまったし、どうしよう、騎士相手にどう対応すれば……」
「落ち着いて。それで今、どちらに?」
「マティルダが応接室に案内した。すぐにお茶を持っていくって言ってた」
お茶の用意はマティルダに任せて大丈夫だろう。
「お母様をお呼びした方がいいんでしょうけれど……ひとまず私が用件をお聞きしてくるわ」
エルシーは鏡の前に立ち、身だしなみを整える。流行のドレスや装飾品はないが、地味でも清潔感だけは失いたくない。
すぐさま応接間へ向かい、ドアをノックすると、耳に心地よい低音の声で返事があった。若い男のようだ。
部屋に入ると、二十代後半と思われる男性が立って、こちらを向いていた。その彼が身に纏っている黒地に金糸で刺繍の施された詰襟軍服は、確かに王宮騎士団のもので、これまで王宮内で幾度も目にしたことのある団服だ。
片付けを終えたエルシーが洗濯物を抱えて水場に行こうとしていた時、ルークが慌てた様子で駆けてきた。
「ルーク、走ってはダメだと--」
「姉様、お客が来てる!」
「……お客様……?」
この家を訪ねる者は、滅多にいない。エルシーは首を傾げた。
「それが、騎士団の人なんだ。たぶんあの服装は」
おかしい。うちには騎士と知り合いの者はいない。王宮では王女つきの近衛騎士と毎日顔を合わせてはいるが、個人的に話す間柄の者はおらず、たとえ伝達事項があるにしても王宮で交わせばすむ話だ。
「母様と姉様に用があるらしいんだ。でも母様はさっき横になってしまったし、どうしよう、騎士相手にどう対応すれば……」
「落ち着いて。それで今、どちらに?」
「マティルダが応接室に案内した。すぐにお茶を持っていくって言ってた」
お茶の用意はマティルダに任せて大丈夫だろう。
「お母様をお呼びした方がいいんでしょうけれど……ひとまず私が用件をお聞きしてくるわ」
エルシーは鏡の前に立ち、身だしなみを整える。流行のドレスや装飾品はないが、地味でも清潔感だけは失いたくない。
すぐさま応接間へ向かい、ドアをノックすると、耳に心地よい低音の声で返事があった。若い男のようだ。
部屋に入ると、二十代後半と思われる男性が立って、こちらを向いていた。その彼が身に纏っている黒地に金糸で刺繍の施された詰襟軍服は、確かに王宮騎士団のもので、これまで王宮内で幾度も目にしたことのある団服だ。