【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
(そんなはずはないわ、そんなはずは……)
自分に言い聞かせるものの、もやもやとした感情が胸中に広がっていく。しかし、ティアナはいずれジェラルドの妻となる。このまま結婚して、恋心をこじらせて、余計にジェラルドと不仲になっては困る。しかも、いつしか美しい王妃と騎士団長が禁断の恋に落ちてしまったら――。
(まさか、そ、そんなはずないわ……!)
だが、一度走りだした妄想は留まることを知らない。エルシーが頭をもたげているうちに、パメラは洗濯物を持って、水場へ行ってしまった。ここ数日、王女に害のない人物だと認識したのか、たまにこうしてエルシーに王女を任せて、他の仕事をすることも増えた。
それは大変喜ばしいことなのだが、今のエルシーはそれどころではない。しかし、なんとか平常心を心掛け、王女のお茶の準備に取り掛かった。
そして、お茶を淹れたティーカップを王女のもとに運ぼうとした時。
「エルシー様はずっと騎士団長と一緒なのですね。羨ましい」
何気なく放たれたティアナの発言が、エルシーの心をかき乱した。手が震え、気づいた時にはカップを落とし、ティアナのドレスの腹部あたりに茶色いシミを作ってしまっていた。
「も、申し訳ございません!」
エルシーは慌てて近くにあったクロスでドレスのシミをぬぐう。しかし、じわじわと広がっていくだけで、全く取れない。そのシミは、まるで今の自分の心のようだと、エルシーは胸が痛んだ。
自分に言い聞かせるものの、もやもやとした感情が胸中に広がっていく。しかし、ティアナはいずれジェラルドの妻となる。このまま結婚して、恋心をこじらせて、余計にジェラルドと不仲になっては困る。しかも、いつしか美しい王妃と騎士団長が禁断の恋に落ちてしまったら――。
(まさか、そ、そんなはずないわ……!)
だが、一度走りだした妄想は留まることを知らない。エルシーが頭をもたげているうちに、パメラは洗濯物を持って、水場へ行ってしまった。ここ数日、王女に害のない人物だと認識したのか、たまにこうしてエルシーに王女を任せて、他の仕事をすることも増えた。
それは大変喜ばしいことなのだが、今のエルシーはそれどころではない。しかし、なんとか平常心を心掛け、王女のお茶の準備に取り掛かった。
そして、お茶を淹れたティーカップを王女のもとに運ぼうとした時。
「エルシー様はずっと騎士団長と一緒なのですね。羨ましい」
何気なく放たれたティアナの発言が、エルシーの心をかき乱した。手が震え、気づいた時にはカップを落とし、ティアナのドレスの腹部あたりに茶色いシミを作ってしまっていた。
「も、申し訳ございません!」
エルシーは慌てて近くにあったクロスでドレスのシミをぬぐう。しかし、じわじわと広がっていくだけで、全く取れない。そのシミは、まるで今の自分の心のようだと、エルシーは胸が痛んだ。