【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍

 その時。

「……くっ……やめろっ!」

 鋭い言葉とともに、エルシーは強く突き飛ばされた。その反動で尻もちをつく。身体の痛みを感じながら何が起こったかわからずにいると、ハッとした様子のティアナがすぐさま近づいてきてしゃがみ込んだ。しかし、その動きで脱がされたドレスが完全にずり落ち、続けてコルセットも落ちる。

(え……っ⁉)

 そこでエルシーは信じられないものを見た。あるべきはずの、女性特有の双丘が、ない。

 あるのは平らな胸。細身だが、少し筋肉質で、まるで成熟前の少年のような――



(ま、まさか……っ)

 本日何度この言葉を心の中で言っただろう。しかし今回はこれまでとは比べ物にならない、確実に種類の違う、かつ人生最大規模の衝撃をエルシーにもたらした。

「だ、だだだ、男性……っ⁉」

(どうして王女様が男の人なのっ⁉)


 見えない斧に脳天を割られ、エルシーはその場に卒倒しそうになった。
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