【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
身動きすら取れないエルシーは、ひたすらベッドの中でじっと身を縮める。
「眠っているのか……?」
控えめな声色からは、怒りは感じられない。落ち着いた、普段の彼の声だ。もうしばらく聞いていたい、でも今すぐ立ち去ってもらいたい。エルシーは複雑な心境だった。
「起きたら、ちゃんと話がしたい。それまで、ここで待つことにする」
アーネストが近くの椅子を運んできて、ベッドの脇に置く音がした。そうされると、エルシーも起きるに起きられない。
「……何が君を不安にさせたか、情けない話だが俺には見当がつかない。だからちゃんと話してくれ。……いや、俺も人のことは言えないが。……口下手で大切なことを君にちゃんと伝えていなかった」
アーネストの手がエルシーの肩に添えられる。
「……君と結婚できて俺は幸せだ」
アーネストの手が離れて、少しの間、沈黙が流れる。しかし、やがて意を決したように彼が口を開いた。
「エルシー、君を……愛している」