【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍


「私は幼少の頃、ティアナ様の影として王家に拾われ、ずっとお側におりました」

きちんとドレスを着直したティアナは椅子に座ると、そう切り出した。その傍らにはパメラが立ち、正面にはエルシーとアーネストが並んでベッドに腰かけている。

「王妃様はティアナ様をご出産後、懐妊が難しいお身体になってしまいました。ティアナ様は王家唯一の嫡子にして、王位継承者。将来はローランザムの女王となるべくお育ちになりました。ティアナ様はローランザムが決して失ってはいけない宝だったのです」

しかし、王妃が病でこの世を去ると、周りの臣下たちが新しい妃を迎えるように進言するようになった。そして、有力貴族の中から若い娘が選ばれ、妃として王宮に上がった。

「新しい王妃となられたそのお方は、やがて男の御子をご出産なさいました。王家に新しい命が誕生し、国王陛下もとてもお喜びになられました。しかし、それが臣下たちによる王女派と王子派の争いの火種を生むことになったのです」

「では……王子様のご誕生で、王女様は王位継承権を奪われてしまったということですか?」

「いいえ、そうではありません。王女様と王妃様は、とても仲がよろしいのです。異母弟の王子様のことも、王女様はとても可愛がっていらっしゃいました。王妃様も控え目な方で、王位継承を主張されたことはありません」

だが、黙っていなかったのは王妃の兄だった。彼は男子が国を治めるべきだとの主張を繰り返し、周りの有力貴族を抱き込み、両者の対立はさらに深まっていった。

「その状況に王女様は大変胸を痛めていらっしゃいました。国がひとつにまとまらなければ、やがて混乱を招き、民にも影響を及ぼす。王女様は悩まれた結果、王位継承権を王子様にお譲りになりました。そして、国の駒として自ら他国に嫁ぐ決心をなさいました」
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