【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
夕刻からの晩餐も穏やかな雰囲気のまま終わり、ニコラは就寝のため、早々に自室に引き上げていった。アーネストとエルシーは食後のお茶とデザートをゆっくり楽しんでから、席を立った。話しながらゆっくりと部屋へと向かう。
「お祖母様、とてもお優しくて素敵な方ですね」
「ああ、昔から朗らかな人だった。厳格な祖父とは対称的で、こんなふたりがよく夫婦になれたものだと不思議に思ったこともあったが、けんかひとつしなかったところを見ると、仲は良かったんだろう」
アーネストによると、ニコラは今でこそひっそりと静かに過ごしているが、若い時は乗馬が得意で、よく近くの森に狩りに出かけていくほど活発だったらしい。アーネストは王立騎士団で要職についている都合上、ここには住めないため王都で一緒に暮らすことを以前ニコラに提案した。しかし、ここの空気が好きだから離れたくない、と断られたのだという。
やがてエルシーの客間の前に着いた。アーネストの部屋は、そのふたつ隣りにある。
「今日は疲れただろう。ゆっくり休んで、明日に備えよう」
明日はオーモンド氏と面会する。数日前、先方には手紙で来訪の予定を告げており、了承の返事ももらっている。ふたりは就寝の挨拶を交わし、互いに部屋に戻っていった。