【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
エルシーは視線を前に戻した。
夫人の横には、栗色の髪の少女が座っている。彼女が、施設から引き取られたアンナという養女で、十歳だという。しかし、流行りの可愛らしい薄ピンクのドレスに身を包み、同色のリボンで髪を飾られたアンナは、ずっと下を向いていてエルシーと目を合わせようとしない。少し顔色が悪いように思えて、エルシーは先ほどから気になりっぱなしだ。
その視線に気づいた夫人が、アンナの肩にそっと手を回す。
「ああ、申し訳ありません。この子はつい最近引き取ったばかりで、まだマナーなどに自信が持てないようでして。どうか大目に見てやってくださいな。王都からいらっしゃった本物の貴族のお嬢様方を前にして、とても緊張しているのでしょう」
「本物だなんて、とんでもありません。……アンナ様、私、実はこうして会食の席に呼ばれるのも子供の時以来なんです。もうその記憶も朧げですけど。なので私もマナーはよくわかっていませんので、どうかお気を楽になさってください」
エルシーはアンナとも距離を縮めたくて、微笑みかけた。その声にアンナはゆっくりと顔を上げる。白い肌に青い瞳、目鼻立ちは整っていて、とても可愛らしい少女だ。しかし、その控えめな眼差しは再び下に向けられてしまった。
お近づきになりたいというエルシーの思いは、上手く伝わらなかったらしい。これ以上踏み込むのは逆に失礼だと悟ったエルシーは、今はまだそっとしておいて、相手が心を許してくれるタイミングを待つことにした。
夫人の横には、栗色の髪の少女が座っている。彼女が、施設から引き取られたアンナという養女で、十歳だという。しかし、流行りの可愛らしい薄ピンクのドレスに身を包み、同色のリボンで髪を飾られたアンナは、ずっと下を向いていてエルシーと目を合わせようとしない。少し顔色が悪いように思えて、エルシーは先ほどから気になりっぱなしだ。
その視線に気づいた夫人が、アンナの肩にそっと手を回す。
「ああ、申し訳ありません。この子はつい最近引き取ったばかりで、まだマナーなどに自信が持てないようでして。どうか大目に見てやってくださいな。王都からいらっしゃった本物の貴族のお嬢様方を前にして、とても緊張しているのでしょう」
「本物だなんて、とんでもありません。……アンナ様、私、実はこうして会食の席に呼ばれるのも子供の時以来なんです。もうその記憶も朧げですけど。なので私もマナーはよくわかっていませんので、どうかお気を楽になさってください」
エルシーはアンナとも距離を縮めたくて、微笑みかけた。その声にアンナはゆっくりと顔を上げる。白い肌に青い瞳、目鼻立ちは整っていて、とても可愛らしい少女だ。しかし、その控えめな眼差しは再び下に向けられてしまった。
お近づきになりたいというエルシーの思いは、上手く伝わらなかったらしい。これ以上踏み込むのは逆に失礼だと悟ったエルシーは、今はまだそっとしておいて、相手が心を許してくれるタイミングを待つことにした。