【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
「その悲しい感情とやらを、詳しくお聞かせ願えないでしょうか……? この家に入って来た時に感じた重い空気というのも、その影響では?」
夫人がさらに手に力を込め、エルシーの目を凝視してくる。答えを聞くまで逃すものか、という心情が見えてくるようで、エルシーは少したじろいだ。そんな夫人の行動に、ケレット氏も心配して、そばまでやってくる。
「お、おい、お前、突然失礼じゃないか。エルシー様が困っていらっしゃる」
「あなたは黙ってて。私は少しお話が伺いたいだけよ。エルシー様はこの家の空気が悲しみに満ちていることを感じ取られたのよ。きっと、マディが」
「何度言ったらわかる。マディはもういないんだ」
「どうしてそんな冷たいことが言えるの。なんてひどい人!」
夫人は声を荒らげたが、瞬時に自我を取り戻し、口元を手で押さえた。なんとも言えない重い沈黙が部屋を覆ったが、いち早くそれを破ったのはアーネストだった。
「マディというのは?」
問いつつもアーネストはもちろん、エルシーにも大方察しはついている。だが、自分たちはあくまで今知った体を装わなくてはならない。
「……私たちの娘です。二年前、病気で他界しました」
思った通りの答えが、ケレット氏から返ってきた。
夫人がさらに手に力を込め、エルシーの目を凝視してくる。答えを聞くまで逃すものか、という心情が見えてくるようで、エルシーは少したじろいだ。そんな夫人の行動に、ケレット氏も心配して、そばまでやってくる。
「お、おい、お前、突然失礼じゃないか。エルシー様が困っていらっしゃる」
「あなたは黙ってて。私は少しお話が伺いたいだけよ。エルシー様はこの家の空気が悲しみに満ちていることを感じ取られたのよ。きっと、マディが」
「何度言ったらわかる。マディはもういないんだ」
「どうしてそんな冷たいことが言えるの。なんてひどい人!」
夫人は声を荒らげたが、瞬時に自我を取り戻し、口元を手で押さえた。なんとも言えない重い沈黙が部屋を覆ったが、いち早くそれを破ったのはアーネストだった。
「マディというのは?」
問いつつもアーネストはもちろん、エルシーにも大方察しはついている。だが、自分たちはあくまで今知った体を装わなくてはならない。
「……私たちの娘です。二年前、病気で他界しました」
思った通りの答えが、ケレット氏から返ってきた。