【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
「嘘をついているかどうかは、あとで調べればわかることだ」
「地位にものを言わせて、他人のあら探しですか? いかにもお金持ちの考えそうなことだ」
つい先刻の時とは打って変わって、ヴィンスの態度と口調はずいぶんとぞんざいになっている。しかし、挑発とも取れる発言にアーネストが反応を示すことはなく、淡々と話を進める。
「ケレット夫妻は、エルシーが〝声の聞こえる能力者〟だと教えてくれたのは君だ、と証言した。どこで知った? なぜ教える必要があった?」
「なぜ……? 頭のよろしい公爵様ならすでに察しがついていると思っていましたが」
好青年の仮面を取ったヴィンスが、小馬鹿にしたように薄い笑みを浮かべる。
「あの夫妻は死んだ娘の声を聞ける子供を欲しがっていた。ですが、アンナで最後になってしまった。そのアンナも思うような働きをしない。失望した夫妻にとって、あなたは最後の希望だったのですよ、エルシー様」
「あなたも私たちの能力をそういう風に捉えていたのね! そんなことをしても、誰も救われないのに!」
エルシーは思わず叫んだ。先入観を持った人間の認識はそう簡単に変えられないことは知っていたが、そうせずにはいられなかった。
「救われなくても、何かにすがりたい人間はいるのですよ。それだけで救われたようになるんです。僕もそんな人々のために、何かしてあげたい。そう思って彼らに子供たちの力と存在を教えたんです」
「地位にものを言わせて、他人のあら探しですか? いかにもお金持ちの考えそうなことだ」
つい先刻の時とは打って変わって、ヴィンスの態度と口調はずいぶんとぞんざいになっている。しかし、挑発とも取れる発言にアーネストが反応を示すことはなく、淡々と話を進める。
「ケレット夫妻は、エルシーが〝声の聞こえる能力者〟だと教えてくれたのは君だ、と証言した。どこで知った? なぜ教える必要があった?」
「なぜ……? 頭のよろしい公爵様ならすでに察しがついていると思っていましたが」
好青年の仮面を取ったヴィンスが、小馬鹿にしたように薄い笑みを浮かべる。
「あの夫妻は死んだ娘の声を聞ける子供を欲しがっていた。ですが、アンナで最後になってしまった。そのアンナも思うような働きをしない。失望した夫妻にとって、あなたは最後の希望だったのですよ、エルシー様」
「あなたも私たちの能力をそういう風に捉えていたのね! そんなことをしても、誰も救われないのに!」
エルシーは思わず叫んだ。先入観を持った人間の認識はそう簡単に変えられないことは知っていたが、そうせずにはいられなかった。
「救われなくても、何かにすがりたい人間はいるのですよ。それだけで救われたようになるんです。僕もそんな人々のために、何かしてあげたい。そう思って彼らに子供たちの力と存在を教えたんです」