【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍
ただちに使用人頭に案内されたのは、二階のオーモンド氏の寝室だった。
医者らしき人物と数人の使用人に囲まれたベッドの上には、数時間前と同じく、長く白い髪と髭をたくわえた男性が横たわっている。ただ唯一違うのは、彼の目が開き、しっかりと天井を見据えていることである。
アーネストは騎士たちに廊下での待機を言い渡すと、エルシーとともに中に入った。ヴィンスがそれを見て、驚きの声を上げる。
「お、お前たちっ……!」
「お静かになさって。お父様の身体に響きますわ」
エルシーはやや強めの口調でヴィンスを制すると、少しだけ前に歩を進める。
「お初にお目にかかります。エルシー・ウェントワースと申します。この度はお招きいただき、ありがとうございます」
「おい、ずうずうしいぞっ。誰が入っていいと言った⁉」
ヴィンスは怒りを露わにして大股で近づいてきたが、スッとアーネストの影が動き、前に立ちはだかる。その横をすり抜けて、エルシーはまた数歩近づいた。もはや彼女の対面相手は、この屋敷の息子ではなく、当主であるオーモンド氏だからだ。
「おい、無視するな、いい加減に――」
「いい加減にするのはお前だ」
その時、少ししわがれた声が部屋に低く響いた。声の聞こえてきた方を向くと、ベッドに横たわった男性が、ヴィンスに向けて強い眼差しを送っている。
おおよそ長年、昏睡状態に陥っていた人物のものとは思えぬしっかりとした声色に、ヴィンスは一瞬信じられないといった面持ちで身体を強張らせたが、すぐに父のそばに駆け戻った。
「ああ、父さん、意識がはっきりしてきたんだね、良かった……!」
「……ああ、何とかな。心配をかけてすまぬ。……それと、そちらのお嬢さん。あなたがエルシー様ですな。お呼び立てして、申し訳ありません」
オーモンド氏が少し目を細めた。
医者らしき人物と数人の使用人に囲まれたベッドの上には、数時間前と同じく、長く白い髪と髭をたくわえた男性が横たわっている。ただ唯一違うのは、彼の目が開き、しっかりと天井を見据えていることである。
アーネストは騎士たちに廊下での待機を言い渡すと、エルシーとともに中に入った。ヴィンスがそれを見て、驚きの声を上げる。
「お、お前たちっ……!」
「お静かになさって。お父様の身体に響きますわ」
エルシーはやや強めの口調でヴィンスを制すると、少しだけ前に歩を進める。
「お初にお目にかかります。エルシー・ウェントワースと申します。この度はお招きいただき、ありがとうございます」
「おい、ずうずうしいぞっ。誰が入っていいと言った⁉」
ヴィンスは怒りを露わにして大股で近づいてきたが、スッとアーネストの影が動き、前に立ちはだかる。その横をすり抜けて、エルシーはまた数歩近づいた。もはや彼女の対面相手は、この屋敷の息子ではなく、当主であるオーモンド氏だからだ。
「おい、無視するな、いい加減に――」
「いい加減にするのはお前だ」
その時、少ししわがれた声が部屋に低く響いた。声の聞こえてきた方を向くと、ベッドに横たわった男性が、ヴィンスに向けて強い眼差しを送っている。
おおよそ長年、昏睡状態に陥っていた人物のものとは思えぬしっかりとした声色に、ヴィンスは一瞬信じられないといった面持ちで身体を強張らせたが、すぐに父のそばに駆け戻った。
「ああ、父さん、意識がはっきりしてきたんだね、良かった……!」
「……ああ、何とかな。心配をかけてすまぬ。……それと、そちらのお嬢さん。あなたがエルシー様ですな。お呼び立てして、申し訳ありません」
オーモンド氏が少し目を細めた。