【電子書籍化】騎士団長と新妻侍女のひそかな活躍

 
「この度は愚息のあなた方に対する行い、なんとお詫び申し上げてよいか」

 ベッドの上で、上体を起こしたオーモンド氏がエルシーにゆっくりと頭を下げかける。

「あ、まだ無理なさらないでください。私なら大丈夫ですので」

 エルシーは慌ててオーモンド氏の動きを止めに入った。

 今、部屋にいるのは、彼を含めて、エルシー、アーネスト、そしてヴィンスの四人のみ。その他の医者と使用人たちは退室を命じられた。それから、エルシーとヴィンス、双方から話を聞いたオーモンド氏が真っ先にしたのは、エルシーへの謝罪とヴィンスへの叱責だった。

「ヴィンス、お前はっ……! 何ということをしたのだ」

「でも、夫妻は喜んでいたんだ、これは人助けだ」

「人の道理に外れるということがどういうものか、理解できていないとはいい大人が聞いて呆れる。お前にはまだまだ聞くことはありそうだ。一旦席を外しなさい。それと今から証拠隠滅を謀っても無駄だぞ。必ずいずれどこかで発覚する」

 ヴィンスは苦悶で表情を歪めたが、父に眼光鋭く見据えられると青ざめた様子で部屋から出ていった。

 部屋が静かになると、オーモンド氏はエルシーとアーネストに椅子を勧めた。

「重ね重ね、これまでのことお詫びします。こんなことを言うと擁護しているように聞こえるでしょうが、ヴィンスは元来真面目な性格でして、私も安心して事業を任せられると思い、経営学やら何やら、いろいろ伝授しました。あの養護施設にいる一部の子供が特殊能力者だということをヴィンスに教えたのも私です。息子にはゆくゆくは施設の運営を任せるつもりだったので、そういう事情も把握しておいてほしかったんです」

「ヴィンスさんの話では、父がそういう能力の子供たちを探して集めていた、とのことでした。ということは……あまり考えたくはないのですけれど、父が能力者の子供をどこかに送るために造られた施設なのでしょうか……?」

 エルシーはグッと唇を噛み締めた。知るのは怖いが、絶対に避けて通れない道だというのも理解している。
< 99 / 169 >

この作品をシェア

pagetop