君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「初めて佐倉くんに会ったけど…」
「うん」
適当に席に着きながら話し出す。
「別に、怒ってないんだよね…?」
「多分…としか」
「だって!なんか、頭ポンポンとか、するし!」
「頭ポンポンは君もしてきたでしょ」
「それとは意味合いが違うっ!」
そうだよ、意味が違う。俺のは確実に下心ありだった。
佐倉くんは…知らないけど。
俺が知りたいくらいだよ、あの真意。
「そうだよね、私あの時、褒めてーとか言った記憶あるし」
「ああ…そうだね、夏休み前に…」
そういうことでもない…。
「ああ…あと。飛鳥ちゃんの反応も違ったよ」
「貴哉くんの時と、佐倉の時で?」
「僕の時は驚くというよりかは照れてて、彼の時は照れ度皆無でポカンとしてた」
「いや、ポカンとするでしょ!あの佐倉だよ?てか話の内容的にも繋がらないし、訳分からんくない?」
まあいいんだ。俺にだけ、照れてくれた。
その事実が分かったから。
佐倉くんのことはさておき、飛鳥ちゃんと喋ってて気付いたことがある。
「…なんか、飛鳥ちゃんさ」
「ん?」
「昨日と雰囲気違う?…というか、昨日が雰囲気違った?」
俺の目を見つめたまま、彼女は首を傾げて考え込んだ。