君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


ー貴哉sideーー


…何でこうも、好きな子が他の男といる所を見るんだろうね、俺。

これが恋の厳しさですか?


数I終わり、2階の奥にあるラウンジの方に行って、自販機でジュース買って、ベンチの所で飲もうと思ってたんですが…。

あ、ラウンジってのは、休み時間に生徒が過ごせる場所。
自販機が3台あって、テーブルや椅子が結構な数ある。しかも自販機は、外のより断然安いからお得!

だけど飛鳥ちゃん曰く、陽キャばっかでうるさいだけだよ、とのこと。

飛鳥ちゃんは休み時間、大抵次の授業の場所で過ごしてるから、ラウンジに来ることはあまり無いんだろうな。


話を戻そう。

ベンチの方に向かっていて、遠目に見えたのがカップル(仮)で。

特定の人物ではなく、“カップル”としてしか捉えてなかったけど。

あぁ…カップルいるなぁ。もし俺が、飛鳥ちゃんと付き合えたら…ああやって仲睦まじく2人で寄り添って過ごしたいな。

そんなことを呑気に考えながら近付いて気付く。

飛鳥ちゃんと佐倉くんやん!って。

2人は一緒に動画を観ているらしく、イヤホンをシェアしてる。

これで付き合ってないなんて、そんなの無いよ!…いや、無くて良いんだけどさ!

そして、2人共夢中で画面を観ているもんだから、幸か不幸かこちらには気付いてない。

そして俺は、素通りして…結局エントランスのテーブルの所で飲むことに。

1回座るとしばらく居座るもんだけど。

あんまり長居してると、2人が帰る所まで目撃する羽目になるしな…
と思い、軽く喉を潤してすぐに家路に着く。


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