君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
地元の最寄り駅に着く。
話題をコロコロ変えながら歩き、信号待ち。
何となく周りを見渡していると、昔ながらの喫茶店の前で、おばあちゃんが重そうな荷物を持ち上げようとしてるのが目に入る。
気付けば私は、そのおばあちゃんの元に駆け寄って、声をかけていた。
「大丈夫ですか?」
「ええ…大丈夫よ…」
声が苦しそうですが?
「いやいや…どこ運べば良いんですか?」
「本当に手伝ってもらっていいの?
じゃあ、えっとね…この段ボールは、カウンターの所で…こっちの大きい段ボールは、お客さん用のテーブルの上に置きたいのよ」
「分かりましたー!」
カウンターに持って行く段ボールは、そこまで大きくないながらも、意外と重い。
「何入ってるんですか…これ?」
「手動のコーヒーミルが入ってるのよ。新しいのが欲しくなっちゃって買ってみたら、それが案外重くって…」
「コーヒーミル…あぁ、コーヒー豆を挽く道具か…。登下校でここの前よく通るんですけど、いつもコーヒーの良い香りしますよね」
「あら、そう?そう言ってもらえると嬉しいわー!」
ミルクと砂糖無しでコーヒー飲めないけどね!まだまだ舌はお子ちゃまだけどね!
そんな雑談をしながらコーヒーミルの入った段ボールをカウンターに置いて、大きい段ボールに手をかけて、持ち上げようとした。
「え…何これ重っ…。おばあちゃん、1人でどうやって中に入れようとしてたの…?」
「無理しないで?食器類が入ってるのよ、何枚かずつ自分でやれば良いからそっちは大丈夫なの」
「ははは…そうですか…」
私の腕力、ひ弱過ぎだよ…。
そう思っていると、貴哉くんが私の前に立った。
「貸して」
「えっ?」
聞き返す間もなく、彼は軽々…とまでは行かないかもしれないけど、
「よいしょっ」
なんて軽く呟きながらも、いとも簡単に持ち上げてしまう。
「ここで大丈夫ですか?」
「ええ!ありがとうねぇ、2人共」
「いえいえ」
貴哉くんは優しく微笑んでそう答えた。
あんな微笑み見せられたら、シロツメクサくらいは咲くかもしれない。
「じゃあ、私達はこれで…」
「ああ、ちょっと待って!」
そう言っておばあちゃんは、キッチンの方に入って行ってゴソゴソしだした。