君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
ー貴哉sideーー
教室の後ろの方に座る彼女。俺は教室の後ろのドアから入ってるから、それでもまだ後ろ姿しか分からない。
深呼吸をして、彼女に近付いた。
「ねえっ、隣いい?」
そう声をかけると、リュックから色々取り出してる途中だからか、体勢はそのままで顔だけ上げて俺の存在を確認してきた。
初めて顔まで見れた。ナチュラルメイクで自然な感じ。華やかな顔立ちというわけではないけど、清潔感があって好感のもてる女の子だ。
「いい…けど…」
そう返してきた。彼女の表情からは、何を思ってるのかは分からない。
拒否感こそ感じないが、不思議に思ってるんだろうな、というのだけはうっすら感じた。
自分の緊張を解き放つかのように、
「良かったぁ…!」
と、声を出しながら、席に着いて、教科書を机に出し始めた。
あと今気付いた。
俺の横顔をめちゃくちゃ見つめてくる。
まあ…そうだよね。俺のこと、不思議に思ってるよね。
恥ずかしいんだけどな…?
「…ちょっ、僕のことそんなにまじまじ見つめないでよ」
顔が赤いのは自覚してる。でも、
赤くなるなー!
って思うほどに赤くなるのが人間ってやつで。
「私、そんなに見つめてた?」
「うん」
「そっか、ごめん。肌綺麗だし、てか全体的に綺麗だなって、軽く見惚れてた」
えええ!みっ、みっ…見惚れてたって…!
あーもう何!?これ夢?夢なのかっ?
でも、とりあえずは、自己紹介しないと始まらない。
「あのさっ…」
「うん?」
「俺、2部の十羽貴哉。よろしくね!」