君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


「妹尾家の味噌汁、作る人によって味違うから、もはや妹尾家の味なんて存在しないけどな」

「まあ、一応母親の味噌汁が妹尾家の味になるんじゃない?」


さてさて…ついに完成した夕食。

怖いのは即興で作ったミニオムレツなんだけど…。自分で1口食べてみる。


「あ、意外とイケるじゃん、これ」

「オムレツ?飛鳥、あんまりそういうの作るイメージ無いけど」


翔も口にする。


「何、貴哉がいるからって張り切っちゃった?」

「…おかず少ないかな、と思ったから作っただけです」


特に感想を言ってこないあたり、普通なんだろうな。まあいいよ、失敗作じゃなかっただけ…。


「さっきから思ってたんだけど…」


貴哉くんが口を開く。


「翔さん、シャワー浴びて出てくると色気あるよね」

「はぁ…?俺のことそんな目で見てたの…?」

「飛鳥ちゃんが翔さんのこと、モテないって言うから…おかしいなって」

「貴哉に変なこと吹き込まないでもらっていいですかね、妹さんよー」

「だって彼女できたことないじゃん」

「いや、まあそうですけど…それは俺も不思議で仕方無いんだけど…」


ある種、妹尾家最大の謎かもね。


「ただ、翔のお風呂上がりを見慣れてる私からすれば、濡れた髪の色っぽいであろう姿も、シャンプー後のわんちゃんに見えるだけですね」

「何だよそれ、可愛いじゃん俺」


自分で可愛いとか言わないでよ。


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