君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


「ねえ佐倉くん…」

「あ?」

「僕らこんなに動けなかったっけ」


りつみなが戦意喪失してるんですが。


「いくら見た目が陽キャリア充とはいえ、運動神経にまで影響しないよね」

「その言い方、僕らただただ見た目だけじゃん!」

「それで得したこともあるでしょうよ」


と呟いたと思ったら、飛鳥ちゃんの嫌ぁなサーブが炸裂した。


「ちょっ、おまっ…」


気を抜いていた佐倉くんは、見事に返し損ねて悔しそうに卓球台に突っ伏す。

クールな顔して、意外と茶目っ気あるよね、佐倉くん。


結局ほとんどやられっぱなしのまま、11対3でりつみなの敗北…あすたかの快勝!!


「貴哉くん頼りで勝ってるばっかじゃないんだよ、見たかー!」

「はいはい…」

「まあ…ダブルスって名ばかりで、ルール無視だったしなぁ」

「ん?どういう意味?」

「今は誰が打つとか関係無くバチコン打ってたけど、本当は交互で打たなきゃいけないんだよ、立ち位置交換して」

「へえ…大変そうだね、それ」

「私ダブルスはそんなに強くないからさ、ダブルスのルール知らなそうなのを良い事に、ルールガン無視してました」

「そういうの、決着ついてから言うのはダメだと思う」


佐倉くんに文句は言われてますが。

勝ちは勝ち、ということなのか、やり直しとも取り消しとも言わない先輩2人。


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