君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


「それにしても、たかやんやるねー」

「え?」

「妹尾ちゃんのこと軽々持ち上げて、保健室まで運んじゃったんでしょ。
そんなんもう、惚れちゃうじゃん」

「だといいんですけど。俺の理性が解かれそうだっただけな気がします」

「は?」


佐倉くんに怪訝な表情をされる。


「だ…だって、大密着だし、胸に顔うずめてくるし、俺の腕ですっぽり収まっちゃうし、すやすや眠っちゃって無防備だし!
佐倉くんは、あんっな可愛いの見て理性揺らぎませんかっ!!」

「え…あ、うん。揺らぐ、かもな」


俺の圧にちょっと引いてるし。


「…本人が聞いてなきゃいいな」

「えっ?」


いるのっ?!って思って、周りを見渡した。


「いや、いないけど」

「ちょっ…焦らせないでくださいよ」

「お前が勝手に焦っただけだろ」


まあ、そうなんだけど。


その日の夜。
夕食の後に部屋に行く。

机上の携帯がチカチカしているのに気付く。


「LINEかな…あ、飛鳥ちゃんっ?」


思わず独り言が出る。

今日の俺の口は、緩いもんだ。
保健室で“好き”とか言っちゃうし。

そして予想通り、飛鳥ちゃんからのLINEだった。


<翔、特に何も言ってなかったけど、連絡してくれたの貴哉くんだよね?>
<明日は一応休むけど、貴哉くんのおかげで早く治りそう!>
<ありがとね!じゃあ、おやすみ〜>


とのこと。

ああ、翔さん、ちゃんと迎えに行ってくれたんだ。良かった。


<油断して無理しちゃダメだよ?>
<お大事に!>


それから、おやすみ!とクマのスタンプを送る。
…可愛すぎたかな、男が送るにしては。


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