君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
私が2個目のおにぎりを頬張り始めたくらいで、彼女らは荷物をまとめ始めた。
「明日の数学って、宿題あったっけ?」
「えー、どうだったっけ」
「あっ、あったー!ファイルから発掘した!」
「全然やってないじゃん」
「数学きらーい」
不自然なほどこっちに話を振ってこない。
確かに、モデルの話とかが興味無いのは彼女らだって分かってるから、無理に私に振ってこないけれど。
この中で1番数学できるのは確実に私だし、今までなら絶対振ってきてたのに。
「トイレ行こー、凜」
「いいよー。もう次の教室行っちゃう?」
「そうだね、行こ!そういえば宿題やってない!まずい!」
「えー、知愛が忘れるとか珍しいー」
なんて…しまいには、食べ終わってお茶を飲んでいると、こちらに何も言ってこないで去って行った。
は…?
別に、もはや怒りとかじゃなかった。
呆然。
虚無。
たまたま3人きりだった教室に1人残されて、何とも言えない気持ちになる。
…何で。私なりに頑張ってきたはずなのに。
女子ともいなきゃいけないって、そういう理想に囚われてただけなの?
“意味なんか無かったんだよ”と、否定された気持ちになった。