君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


私が2個目のおにぎりを頬張り始めたくらいで、彼女らは荷物をまとめ始めた。


「明日の数学って、宿題あったっけ?」

「えー、どうだったっけ」

「あっ、あったー!ファイルから発掘した!」

「全然やってないじゃん」

「数学きらーい」


不自然なほどこっちに話を振ってこない。
確かに、モデルの話とかが興味無いのは彼女らだって分かってるから、無理に私に振ってこないけれど。

この中で1番数学できるのは確実に私だし、今までなら絶対振ってきてたのに。


「トイレ行こー、凜」

「いいよー。もう次の教室行っちゃう?」

「そうだね、行こ!そういえば宿題やってない!まずい!」

「えー、知愛が忘れるとか珍しいー」



なんて…しまいには、食べ終わってお茶を飲んでいると、こちらに何も言ってこないで去って行った。

は…?

別に、もはや怒りとかじゃなかった。


呆然。

虚無。


たまたま3人きりだった教室に1人残されて、何とも言えない気持ちになる。


…何で。私なりに頑張ってきたはずなのに。
女子ともいなきゃいけないって、そういう理想に囚われてただけなの?


“意味なんか無かったんだよ”と、否定された気持ちになった。

< 226 / 273 >

この作品をシェア

pagetop