君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
そんな一瞬で分かるもの…?
「っ…気のせいだって」
「飛鳥ちゃん」
「貴哉くんの方が、疲れてるんじゃない?そういうのあるじゃん。自分以外も調子悪く見える、的な」
少し俯き気味だからか。
いけしゃあしゃあと、思ってもない言葉が出てくる。
恐ろしくスラスラと。
「だから、私は、いつも通りだよ」
よし、決まった。
「ほらほら、教室行くよ「飛鳥ちゃん!」
立ち上がる私に、こちらを見上げて強い語調で引き止めてきた。
「俺そんな、空っぽで無理した笑顔の飛鳥ちゃんなんか見たくないよ!」
「っだから…大丈夫だって」
「本当に大丈夫なら、いつもの笑顔見せてよ」
「別に何も変わらないよ、いつも通りだって」
嘘だ。
自覚するくらい、頑張って“いつも通りみたい”、を演じてる。
唇の裏を微かに噛んで目を伏せる。
余計なこと言ったら、もっと貴哉くんに勘繰られる。もう…遅いかもしれないけど。
沈黙を破ったのは貴哉くんの方だった。
彼は小さな溜め息をついた。
「相手が僕じゃなくて佐倉くんだったら、もっと頼ってくれるの?弱い所とか、見せてくれるの?」
「えっ…?」
思いもよらない言葉を投げかけられた。
つい彼に目を向けてしまった。