君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
一通り話してくれて、飛鳥ちゃんは満足したような表情を見せた。
「なんかスッキリした。ありがと、聞いてくれて」
「ううん、良かった」
「…この後どうする?色々聞いてもらうのが目的だったわけだけど」
「ね。どうしよっか」
心が弱っている女の子と、その子を好きな男がいて。
この後どうしようか?なんて言って、気付けばなりゆきで愛し合っちゃうのかな。
いや、なりゆきなら愛し合ってはいないかもしれないけど。
…なんてことにはなりません。
何考えてんだよ俺は。
そんな責任感の無いことはしないって。
大事にしたいんだってば、彼女のこと。
「貴哉くん、日本史の後は何の授業だったの?」
「ん、数Iだよ」
「…サボらせちゃったわけだし、教えようか?」
「それ言ったら飛鳥ちゃんだって…」
「佐倉金澤ーズがいるから大丈夫」
「ああ…でもまあ、それなりの時間まで一緒に勉強する?」
「そだね、そうしよ」
そうして各々、リビングのローテーブルで勉強をして、気付けば5時近かった。
「飛鳥ちゃん、そろそろ5時だよ」
「あー、うん。帰ろっかな」
「いや、別にゆっくりしてってもらって構わないんだけど」
「いつもなら授業終わる頃じゃん。だから、何事も無かったかのように帰る」
「そっか」