君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
日本史の教室に着くと、彼は私の隣に座る。
何となく、気になっていたことを聞いてみた。
「貴哉くんってさ、何で好きになってくれたの?」
「きっかけってこと?」
「…ん、まあそうなるね」
「きっかけかぁ…。一目惚れだね」
HITOMEBORE??
「…おめめ大丈夫?」
「どういう心配なの、それ?…確か家庭科の時だったなぁ。綺麗な髪の後ろ姿に、一瞬で惹かれた感じだった」
「…何じゃそりゃ!」
「俺も分かんないよー。性格も何も分かんないのに、好きって思ったんだから」
だけどそうか、縮毛矯正してなかったら、こうはなってなかったわけだ。
縮毛矯正してて良かったー!
「…あ、てことは。地学の時声かけてきたのって」
「近付くチャンス!ってなって」
「本当に初っ端から…」
「そうだよ。飛鳥ちゃん、気付かない方が凄いよ」
「だね…」
鈍感にも程がありましたね。
「でも俺、今はそこだけじゃないよ?好きな所」
「そう?」
「全部大好きだよ」
「あっ…ありがとう」
あまりに甘くて優しい微笑みを見せてくるもんだから、心臓がうるさい。
「飛鳥ちゃんは?」
「え?」
「俺のどこが好き?」
「えっ…と…」
「昨日ちゃんと、好きって言ってくれたじゃん。何でかなーって、気になるなー」
自分に返ってくるとか思ってなかった!
めっちゃ楽しそうにしてるし!
「ぜ…全部好きだよ?」
「へーえ」
お願いだから納得してよ!
「いつもは割とサッパリとしてるのに、こういう時は急に女の子な反応するんだね」
「…しちゃ悪いですか」
「ギャップ良いと思うけど、あまりに俺のことドキドキさせるのは、やめてほしいかもね」
「余裕そうにしてるくせに」
貴哉くんは大人っぽい顔でキョトンとする。
「こう見えて、触るの我慢してるんだから。特別余裕ってこともないけど…」
平叙文のテンションで言うような台詞ではなかったけどね?