君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
10.両想い
デート
告白された後、最初の週末。
初めての、カレカノとしてのデート。
ドキドキ以外無いんだけど。
珍しく、私服でのスカートを穿いて張り切ってる。
そして、ヘアセットも今回は内巻きにしてみる。んー、上手くできない!
「いつまで洗面所占領するつもりだよ」
「ヘアセット大事!!」
「…貴哉とデート?」
あー、いつものテンションでそういうこと聞きますか。
「そう、デート」
「夏休みとは違うな、そんなあっさり認めるんだ?」
…まだ言ってなかったな。
貴哉くんと付き合ってること。
「あのね、翔」
「うん、何」
「実は貴哉くんと、付き合うことになった…っていうか」
名前を呼ぶだけで少し照れちゃうのは何だろう。
少しだけ顔を伏せて鏡越しに言ってみた。
「へえー」
「…妹に先越されてヤケになってる?」
「お前らが付き合うのなんか、時間の問題だっただろうよ。
あんな分かりやすく飛鳥ちゃん飛鳥ちゃん言ってるのに気付かないのは、1周回ってセンスあるんじゃね」
「えー…」
佐倉と金澤くんだけじゃなかったんかい!
兄にまで貴哉くんの想いは気付かれてたのか…。
「だったら、相談した時点で言ってくれればいいのにさー」
「言うわけねーだろ。貴哉が男を見せる邪魔、するわけにはいかないし」
…まあ、そうか。
ナンセンスだもんなぁ。
「貴哉くんに相談とかされてたの?」
「やぁ…貴哉とちゃんと知り合う前からは分かってたよ。飛鳥のこと好きなんだろうなって。
…ほら、水族館行った帰り、下ですれ違ったって言ったじゃん」
「…ああ」
「その時の独り言、飛鳥ちゃん好きだなぁ…だったし」
…そういうことか。
翔が独り言のことについて何か言おうとしたら、貴哉くんがアワアワしたのは。
「あと、貴哉からLINEで報告されてるし。
飛鳥に告って付き合うことになった、って」
「…ええええ?!」
私の報告なんか、今更だったってわけか!
「まあ、頑張れって」
と、翔に肩をポンとされる。
特に洗面所を占領していたことに関して、文句が言いたかったわけではないらしい。
少し面食らったけども…。