君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


昼休みは、彼女らとそのまま教室で過ごすことにした。どうせ次の体育も一緒だし。貴哉くんからも連絡来ないし。

佐倉や金澤くんと昼休みを過ごすことは少ない。何となく、女子がいると話しにくいこととかあるかなーって、気を遣ってしまう部分があるというか。


「今日の飛鳥ちゃん、めっちゃ舟漕いでなかった?」


おにぎりを頬張っていると、知愛がそう言ってきた。妹尾と仙葉で席が前後だから、丸見えだったんだろう。


「眠過ぎて無理だった…」

「そうじゃなくたって、今日の内容は難しかったよー!私も問題やってて、採点しに先生が回ってる時に、ここ違うそこ違うって毎回言われてたし」

「それ、いつものうち」


凜は唇を尖らせながら言ってきた。
まあ確かに君は勉強は苦手だろうな…。

今日はキツくなかったな。
私の興味の無い話題はあまり出てこなかった。


昼休みが終わる20分前に体育館近くの更衣室に向かって5分ほどで着替え終わる。

私達はダンスを選択しているため、メインの大体育館ではなく、その奥の小体育館に行かないといけない。


凜と知愛が2人で何か話しながら、大体育館の靴箱で靴を履き替えていると、


「えっ!飛鳥ちゃん!」


と、後ろから声が聞こえる。

振り返ると、いつもと変わらない、透明感溢れる明るい笑顔の貴哉くんがいる。いつもと違うのは、制服じゃなくてスポーティな格好をしてるってことくらい。

そこまで高身長ってわけでもないんだろうけど、スタイルはシュッとしつつ筋肉もある感じだから、凄く様になる。
まあどちらにせよ、140cm半ばの私から見たらカッコイイ…ってなるんだけど。

可愛いんだかカッコイイんだか、もうどっちかにしてほしい。


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