君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「今から体育なんだね」
「うん!飛鳥ちゃんも?…だよね、いつもと格好違うし」
「貴哉くんは体育館競技?バスケだっけ…凄いよね、バスケ男子カッコイイし。私身長無いから向いてなさすぎる」
「カッコイイ?」
また嬉しそうにしますね。
「飛鳥ちゃんは体育館競技じゃないよね…テニス?あー、テニスだったら外のコートだから違うか。ん?何かあったっけ?」
「ダンス」
「えっ、ダンス?!」
「貴哉くん完全に、踊れるの?運動神経めちゃめちゃ悪そうなのにー!って思ったでしょ」
わざとらしく少し怪訝な表情を見せると、
「そこまでは思ってないよ?…けど、いつも座学で一緒だから、バリバリ動いてる飛鳥ちゃんが想像できないなーって」
なんて、健気に返してくる。
ちょっと意地悪してみたくなる。
「すんごいオブラートに包むじゃん」
「っ…そんなに僕に意地悪言うのやめよ?ね?」
「反応可愛いから、つい」
「えー?」
なんて喋ってる間に、凜と知愛はこちらをチラチラ見ながらも先に小体育館に向かっていた。
「じゃ、そろそろ行くね!」
「うん!じゃあ、また後でね、飛鳥ちゃん」
私は手を振って、小体育館に足を向けた。
小体育館に着くと、端の方に2人が陣取っていた。私も彼女らの所に行って荷物を置く。
「飛鳥ちゃん、あのイケメン誰ー?」
イケメン大好きで有名な、植草凜さんが尋ねてきた。
まあ、あのイケメンって言ったら貴哉くんしかいないよな。
「イケメン?」
「さっき!飛鳥ちゃんと親しげに話してた人だよ!」
「ああ…イケメンね。最近仲良くなった人」
「えー、いいなぁ。なんか飛鳥ちゃん、男友達皆イケメンくない?」
うちもイケメンと仲良くなりたーい、なんてぼやきを耳に入れながら、別に狙ってイケメンと仲良いわけじゃないんだけどな…と思う私。
確かに佐倉も金澤くんも、貴哉くんもなかなかのイケメンさんではあると思うけど。
程なくして、ダンスの授業が始まる。
貴哉くん、ごめんね。私…ダンスは好きだけど、覚え悪い上にそこまで上手くないんだ。