君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


ー飛鳥sideーー


貴哉くんと水族館に行く朝。

何だか張り切ってる自分がいて、学校に行く時よりも準備の時間に余裕を持って起きた。

待ち合わせ場所に5分以上前に着くようにするとなると、8時10分には家を出ないといけない。

いくら室内で待ち合わせにしたとはいえ、あまり待たせたくないからね。

初めて貴哉くんに私服を見られる。

そう思ったら、自ずと頑張ろうと思ってしまう。別に彼氏とか、ましてや異性として見てるわけでもないのに。

仲の良い友人の1人…のはずなんだけど。


メイクは、汗や皮脂に対抗できるようにした。

学校だとちょくちょく直せるし、女子だけで出かけてたら、相手がメイク直ししたい時に一緒についでに直せるけど、男子とってなるとそうはいかない。

相手に恋愛的な好意があるか無いかは関係無くて、完全に自己満足なんだけど、皮脂で小鼻周りがよれたままで外を歩くのはたまったもんじゃないから。

下地とファンデーションは薄め。
いつもならファンデーションの上からしかのせないテカリ防止パウダーを、下地前とファンデーション後の2回のせた。特に小鼻周りは重点的に。

他のポイントメイクは、普段と変わらないか若干薄い。あまり濃くても、貴哉くんに対して下心があるみたいだし!無いし!

…てか、肌のカバーが少ない分、ポイントメイクを濃くしちゃうと、バランス悪いし!それだけだし!


続いてヘアセットの方ですね。
…私、美容系YouTuberでも始めたんですか?
まあいいや。こうやって脳内で実況してた方がやりやすい。

縮毛矯正のおかげで、長年反抗期だった私のクセ毛は素直になった。
それで普段は、朝ちょっと梳かすくらいしかしてなかったけど。ね?今日はね?

いつもは面倒くさがって出さないコテを出す。

前髪は緩く内巻き、後ろ髪の毛先は割としっかり内巻きにして、自然に固めた。
これだけでもだいぶ印象は違う。



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