君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


ショルダーバッグを肩から掛け、改めて全身映る鏡の前に立った。

白のオフショルにデニムのショーパン、シルバーの華奢なネックレス、控えめに揺れるピンク系のマーブル柄イヤリング、左腕にはイヤリングの金属部分と同じゴールドの太めブレスレット、これにウェッジソールの華奢なサンダル。


…デートか!私はこれから、彼ピッピとデートに行くんか!

水族館だから涼しげにー、なんて選んでて、気付いたらデート服だ。

そりゃ多少は?貴哉くんに初めて私服見られるから頑張らなきゃ!ってのもあったけどさ。

パフスリーブのオフショルで、後ろから見たら膝上丈のワンピースで、前から見ると普通の丈のトップス。ボトムスがショーパンだからって、上がこんなに女の子っぽかったらね…。

オフショルってだけで既にデート感溢れてるのに、ふんわりしたフォルムで尚更デート感増し増しだ。

でもだからと言って、メイクもヘアセットも満足いってるのに、また着替えたら崩れそうだし、時間的にも間に合わない。

てか逆に?貴哉くんは、デートとか言い出したんだ。仮に、デート服みたいだと思われたところで、ノッてくれたんだな、で終わるはずだ。
…はず。

それに貴哉くんのことだ。いつも制服だから、服のセンスは分からないけれど、割とカッコ良く着こなしてきそうだ。
仮に多少ダサめの格好をしていた所で、あのビジュアルなんだからそれなりにサマになる。

つまり、これくらい可愛い格好をしておかないと、隣に歩けるもんじゃないんだ。


「そうだ、絶対そうだ、うん」


翔はバイト、両親も仕事で、自分1人なのをいいことに独り言を呟く。
ふと時計に目をやって目を見開いた。

8時9分!ギリギリじゃん!
私は慌てて家を後にした。


そういや…イヤリングにネックレスにブレスレットって、アクセ多すぎたかもしんない!


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