君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


ホームに着いて。


「どうしたの?今日…」

「ん?」

「そんな可愛い格好しちゃってさ」

「凄いね、可愛い連呼するね」

「だって可愛いもん。可愛いの見て可愛いって言うのは普通でしょ?」


そう返すと、さっきまで余裕そうに笑ってた飛鳥ちゃんが、フワッと頬を染めた。


「いつもはストレートなのに、今日は巻いてて。しかも何、露出多くて、どこなら見ても良いのか分かんないし。
俺が今日1日、こんな可愛い女の子独り占めしちゃっていいの?って…なるじゃん」


…あ、待って。動揺しすぎて頭おかしい。

何思ったこと言っちゃってるの。


「…貴哉くんに私服見られるの初めてだから、なんか張り切っちゃった」

「えっ…!」

「ただ、それだけ」

「それだけ…?」

「てかそれ言ったら貴哉くんもじゃん、カッコイイ!ただの女友達と出かけるだけなのに本気出さないで!」

「…や、俺はいつも通りなんだけど」

「うわうわ、そうなったら今度こそ私だけ張り切ってるじゃん」

「…でも、頑張ってみようとはしたんだよ?
そしたらお母さんが、いつものままの方が良いっていうから…。
あ、あれだよ?美容関係の仕事だからアドバイスもらっただけというか」


マザコンとか思われたらまずい!
そう思ってたら、彼女はキョトンとした。


「でもいつもと違う」

「うん?私服だからってことじゃなくて?」

「香水の香りがする。仕留めにかかってる?」


多分本気では言ってないだろうけど、簡単に言えばそうだよ。合ってるよ。


「へぇ…結構気付くんだ?」

「私、鼻は敏感だよ?…良い香り、好きだし」

「俺良い香りする?」

「いつも良い香りするし、今日も良い香りな上に、いつもと違うからってギャップが凄いかな」


それは、ドキッとしたってことかな。


< 68 / 273 >

この作品をシェア

pagetop