君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「あーもう、調子狂う!何2人して張り切ってるんだろうね!」
「そうだね!…けど、僕だけじゃなくて、何だか嬉しいな」
「…うん、自分だけじゃなくて良かったなとは思ってる」
少し遅延してた電車に乗り込む。まだ通勤の時間帯だし、途中までは混んでるのは百も承知だけど。車両の中央に2人で立つ。
「結構混んでるね…」
「そうだね。飛鳥ちゃん大丈夫?」
「めっちゃ押されてる…」
飛鳥ちゃん、小さいから埋もれちゃう。しかも今日は少しヒールもあるし、バランスが取りにくいのかもしれない。
俺は意を決して彼女の腕を引いて、俺の服の裾を掴ませた。
「掴まってて?」
「ありがたく掴ませていただきます」
特に照れる様子も無く、キュッと裾を掴んできた。
俺泣かせだな…これは。
距離も近くて、まともに目を合わせると上目遣いの飛鳥ちゃんと目が合う。
…心臓に悪そうだから、片想いの俺にはまだそれを見る勇気が無い。
その時、揺れますのでご注意下さい、とアナウンスが流れる。ガタッと揺れ、案の定飛鳥ちゃんはバランスを崩す。
俺はしっかりと彼女の肘辺りを掴んで支えた。夏だからかな、大胆になってしまう。
夏のせいにしてしまえ。