君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
5駅くらい進むと、通勤する人が多い駅は終わり、空席が出てくる。
「座ろっか」
そう提案すると、彼女は頷いた。
横に座る。ああ近い。肩も、脚も、近い。
「久しぶりだよー、あんな混んでる電車に乗るの」
「俺も、あんな混むとは思ってなかったなー」
「通学の時、もう普通の出勤や登校の時間帯過ぎてるから割と空いてるからさ。
それ思うと、定時制高校良いこと尽くしだよねー」
「僕、徒歩通学だから特に変化無いけどね」
「あっ、そっか。いいなー、近所に学校あるとか。いっぱい寝れるし、もし忘れ物あったら取りに行けるし」
「往復40分だから、昼休みくらいしか無理だけど」
「あっ…」
その考えはなかったな…。
朝早いのはそんなに苦ではないし、忘れ物もあまりしないし。
でも、そこそこ近所だからって理由で選んだのは、無意識にそういう考えもあったのかもしれない。
「ねえ」
話の内容が変わるんだろう。
興味津々な顔でこちらを見つめてきた。
「前から気になってたんだけどさ」
「え?何が?」
俺のことが?と、軽い冗談を言おうかと思ったけどやめておいた。
自分で首絞めたくないな。