君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「貴哉くん、一人称が定まってないよね」
「はいっ?!」
予想もしてない発言に、必要以上に驚いてしまう。
「え…ああ…そうかな」
「無意識?」
「特に定めてないのは自覚してるけど」
「僕って言ってたり俺って言ってたり。
先輩相手だから僕なのかな、たまに俺って言うのは、うっかり素が出てるだけなんだな、って最初は思ってたんだけど。
どうやらそういうわけでもないんだなって」
「うん、そういうわけじゃない。…そんなこと気になってたの?想像もしてなかったよ、そんなん聞かれるなんて」
「いや…一人称定まってないって、作家泣かせだなって」
「へ?」
「え、だって。これ誰の台詞?!とかなるじゃん」
「ごめん…?」
「そのまんまでいいんだけどさ。何となく気になった!」
飛鳥ちゃんは、想像の斜め上を行く。
「そういや飛鳥ちゃん、6月のテストってどうだったの?」
水族館に着くまで時間はあるから、何となく聞いてみた。
「え…?」
「話せないほどの悪い点数だったの…?」
「聞いてくるくらいだから、貴哉くんはどのテストも良かったんだね?」
「…うん。どれも80点以上いってたよ」
「必履修科目いっぱい取ってるだろうからねー。国数英も1年生のだもん、そりゃ取れるよー」
聞いちゃいかんかったのかもしれない。
「んー、テストの点は私にとっては微妙だったけど、評定はほぼ5だったよ。
欠時がないから、出席とそこそこの点数で5貰ってますって感じ。
欠時無しで点数も良いんじゃ、貴哉くんは7くらいもらってもいいんじゃない?」
「うん、7欲しい!」
「そんなキラキラ笑顔で言われても、私にはどうもできないよ…」
うちの学校、テスト毎に評定出るみたいだね。新鮮だった。
そういや俺はリアルオール5だったな…ただそれは黙っておこう。なんか怖い。
「まあ、せいぜい頑張るんだなっ。前期中間は簡単だよ、期末から急に本気出してくるから泣き見ても知らーん」
「そんな…見捨てないでよ?数学とか教えてよー」
「金澤くんに聞いて下さい」
「金澤くん…?こないだチラッと話に出た気がするけど」
「よく覚えてんね、チラッと話しただけなのに。佐倉の友達だよ。めっちゃ頭良くて、私もよく聞く」
「へえ…」
男友達ホント多いよなぁ…。妬いちゃう。