君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
アナゴ達とは一旦お別れして、下の方に行った。
少し行った所に、筒状の大水槽がある。
「わあぁ…!ねえ、貴哉くん、大きい水槽あるよ!」
子供みたいにはしゃぐ飛鳥ちゃんは、急に俺の手を掴んで駆け出した。
「ええっ!」
手を繋いでます!貴哉選手、飛鳥ちゃんに手を繋がれ、走っております!マジかぁっ!!!
大水槽の前まで来ると、さすがに手を離すのだろうと思っていたけれど。…あれ?全然離さないよ?
「サメでかっ…。あっ、美味しそうなの泳いでる…」
あ…魚に夢中なようで。
美味しそうとか言わないであげて?ね?
まあ、手を繋いでることなんて忘れてるようだ。
…なんかさっきから、俺のこと見てくれないな。魚とか水の生物ばっかり見ちゃってさ。
俺は思わず、彼女の手をグイッと引っ張る。
すると、彼女はバランスを見事に崩して、俺に抱きつく形になる。
「何…?」
珍しく、いかにも女の子な反応を見せてきた。しかも上目遣いとか…。
いや、俺は何をしてるんだ、と我に返る。
「あの…手を繋がれてるの忘れて、腕引いちゃっただけで。その…ごめんね?」
さすがに、告白する勇気までは無かった。
「手?…あ!私何の躊躇も無く貴哉くんの手掴んで走り出してたね!こちらこそごめん!」
名残惜しくも離れて、普通の距離になる。
いや、名残惜しいとか何だよ俺!
2人きりで出かけられるからって、何浮かれてるんだ!
落ち着け、飛鳥ちゃんとはまだ付き合ってないし、告白もしてないしされてない!