君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
しばらく見ていると満足したらしく、飛鳥ちゃんは立ち上がった。
「そろそろイルカショーの時間じゃない?」
「そだね、席埋まる前にもう行こっか」
少し早めだな、と思いつつイルカショーのあるプールまで行くと、同じことを考える人はいるもので、既に前の方の席は埋まっていた。
前行きたいよなー、どっか空いてないかなぁ、そう思って見回していたけれど、飛鳥ちゃんはあまり気にしてないようで、真ん中ら辺に座ろうとする。
「そんな後ろでいいの?」
「え、結構前じゃない?」
「飛鳥ちゃんだったら、目の前行きたい!とか言うのかなって思ったんだけども」
「んー。頑張ってヘアセットとかメイクとかしてきたのに、濡れるのもな…って思う飛鳥と、でも夏だから濡れたい!って思う飛鳥がいて、中途半端な所に座っている飛鳥が今ここにいる」
「女の子は大変だね。もしこれが彼氏とデートだったら、もっと気にするでしょ?」
何言ってんだ俺は!
「今の無しっ「別に変わらないんじゃない?」
「え?」
「何ていうか…今まで彼氏とかいたことないけどさ、私の性格的に、友達として仲良かった男子と付き合いそうだし。だから、彼氏になったからって何か変わるとは思わないかな」
それは、俺もチャンスあるってことだよね?
…ああ、佐倉くんとか金澤くん、その他男友達もありえるのか。まあまあっ…奪ってやる精神だからね、俺。
「レインコート持って来れば良かったなー」
「貴哉くんめっちゃ紳士じゃん!」
「紳士だよ」
「自分で言うなっ」
飛鳥ちゃんには、どうしたって甘くなっちゃうんだよ。優しくしたくなっちゃうんだよ。