君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


陽が落ちてきた。
オレンジとか、赤とか、黄色とか…言葉じゃ表しきれない色がいっぱい混ざった、とにかく綺麗な空だ。


「はあ…綺麗だなぁ」

「ねっ…綺麗」


貴哉くんは私の方に目を向けて、微笑みながら言ってくる。


「俺、こうやってじっくり夕焼け見るの初めてかもしれない」

「そう?」

「あんまり空って見上げないからなぁ」

「ふぅん。まあ、そうか。
…前に夕焼け好きって言ったけど、そもそも空見上げるの好きなんだよね。
特に、夜空の満月が好き。時期とか場所が良ければ、帰り道に見れるんだよ。
1ヶ月に1回しかない、ご褒美みたいじゃない?」

「飛鳥ちゃんがそんなにオススメするなら、見てみたいな。その、特に好きだって言う満月」

「是非是非ー!」


そう返してると、貴哉くんは


「あ…けど、今日はダメだよ?帰り遅くなっちゃうから」


なんて言ってくる。


「はいはい」

「冬になったら、見に行こっか。…ああ、寒いかもだけど」

「手袋とマフラーして、完全防備で行けば問題無い」

「飛鳥ちゃんらしい返答するね?」


吸い込まれるように海の向こう側に消えていく太陽を見送った。

ずっと、貴哉くんと見ていたい。
“海と夕焼け”だけじゃなくて、
“海と月”も。

満月は、もうちょい先だけど。


「あーあ、帰りたくないなぁ」


私がそう呟くと、貴哉くんはビックリしたような目を向ける。


「え…何で…?」

「何でって?そんな変なこと言った?」


急に心配そうな目を向けてくる。


「帰りたくないとか…家で何かあったのかなって」

「別に無いけど」


私はあっさり返す。…実際、何も無いし。


「単に、もっとここで綺麗な景色見たいなって思っただけだよ」

「…なるほど」


安堵したような、少し残念そうな、なんとも複雑な表情を浮かべる貴哉くん。


「んー?」

「僕相手に、そんなピュアな“帰りたくない”なんて言わないでよ…」

「あ?」


彼は顔を手で覆った。

意味が取れなさすぎる。




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