君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
そう思っていると、1個前の駅に着く。
「本当にごめんなさいっ、だけどどこならトントンしていいのか分からなくて…」
「や、おかげで目覚めたって言った」
「へ…」
彼女はスっと息を吸った。
「現在進行形で恋と縁遠い女子に、変な勘違いさせることしない方が良いよ。
私が貴哉くんのこと、好きになっても知らないからね」
彼女は、少しテンションの低い声でそんなことを言う。
俺はもう、目をパチクリするしかない。
…こんなんで好きになってくれたら、願ってもない幸せすぎることだよ?
神様が出血大サービスしちゃってるよ?
返す言葉が見つからない。
…だけど、こんなこと言ってるぐらいだ。寝惚けてないとか言いつつ、絶対多少は寝惚けてる。
だったら、俺が放った爆弾発言なんてそんな覚えてないだろう。
「だったら好きになってよ」
…ん?あれ?何も返ってこない。
「え?何てっ…?」
飛鳥ちゃんはやっと顔を上げたけど…え、このタイミングで?
「何?」
普通のトーンで目をジッと見つめてくる。
てか待って、寝惚けてて覚えてないとか以前に、聞き取れないなんて思いもしなかったんですが。
とりあえず何て返しましょうか…。3秒ほど考えた挙句、
「何でもない」
と、至極在り来りな返答をする、っていう結論が出た。
「えー!気になるじゃん!」
飛鳥ちゃんは飛鳥ちゃんで、至極残念そうな反応をしてきた。