ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋


私の赤ちゃんだ
生きてるんだ

それを認識した私はただただ怖くなった。

私があのまま電車に身投げしていたら、この子を身勝手に殺してしまってたんだ
でもこの子は今、 生きてる

自分を、この子を殺そうとした私が
そんな弱い私が たった一人でこの子を育てていけるんだろうか?


私は居ても立ってもいられず、左腕に挿し込まれている点滴を引きちぎって検査室を飛び出した。
そして私は病院の屋上へ向かう。

今度こそ・・今度こそ死んでしまおう・・・と。



屋上のドアを開けると目の前には電車に飛び込もうとしたあの朝と同じような真っ青な空が広がっていた。
私はその空をじっと眺めながら、ゆっくりと前へ進んだ。


今度こそ
今度こそ・・・・・前へ


歩を進める私は前から吹き付ける強い風に(あお)られ蹌踉(よろ)めいた。
けれども、前に進む事しか頭にない私はなんとか立ち直って、更に前へ進み、防護フェンスに右手をかけた。




さあ、これを(また)いで
もっともっと前へ

このフェンスを越えてしまえば、私は今度こそ楽になれる筈

私はフェンスを越えようとゆっくりと脚を挙げた。
その時だった。



「死のうっていうなら、好きにすればいい!!・・・でも」


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