世界で一番幸せそうに、笑え。
「勇気、先輩」
必死に絞り出した声は、あまりにも小さくなってしまった。
「ん?」
私がいたことに気づいていなかった様子の先輩は、存在に気づけば、うおっ、と驚いてしまう。
申し訳ない。
「朝の、話なんですけど…。」
固唾を飲む、そんな音が聞こえたような気がした。
「やっぱり、ごめんなさい。私好きな人がいるんです。告白してくれたことは、ほんとに嬉しかったです。ありがとうございました。」
授業中、何度も頭の中で反芻した台詞。
これを伝えたら、どんな顔をするだろう、とただひたすらに不安だった。
でも、目の前の先輩は、思ったよりも穏やかな顔をしていて拍子抜けする。
「ありがとな。ちゃんと考えてくれて。」
そう言って笑った先輩は、立ち上がって私の頭を1度だけ撫でると、大きく伸びをした。
「幸せになれよ。」
その言葉は、少し気障ではあったけど、本当にそう思ってくれているのが伝わってきて。
私は、ぺこりと頭を下げれば、走って図書室を出た。