一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
程なくして母親の病は悪化。
その頃には母親も反発することもできないほど弱り切っていて、まるで誘拐されるかのように無理やりに引っ越しをさせられ都会へと移り住んだ。
それが俺が小学3年の時だ。
その時、初めて父親だと名乗る男とまともに会話したが酷く冷たい表情をしていたのを覚えている。
連れて来られた屋敷はまさに大豪邸で、使用人と呼ばれる大人が何人かいたが向けられる視線は刺すようなものばかりで居心地は最悪だった。
そこでは英才教育を受けさせられ、寝る暇もなく勉強を強要された。
唯一、心の拠り所は母親の病室へ見舞いに行く事だけ。
たまに屋敷の中であの男を見かけても気遣う様子もなく、口を開けば厳しい口調に険しい表情。
こちらは無理やりに連れて来られたのに、何故そんな仕打ちを受けなればいけないのかとモヤモヤとしていく中でようやくその理由が分かった。
それは転校した学校で同級生から言われた言葉。
〝あいつ愛人の子らしいぜ〟
その言葉で全て理解した。
何故、幼少期は母親と2人だったのか。
連れてこられた屋敷の人間から軽蔑したような視線。
涙を浮かべながら謝る母親の姿。
そしてあの男からの扱い。