一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》


殆ど誰も残っていないとはいえ、ここは会社。

早く涙を溜めなくてはと思えば思うほどに、涙が次々に流れてきてしまう。






顔も上げられず、その場から動くこともできずにただただ俯いたまま静かに涙を流していると身体全身に覆いかぶさるように彼の温かい温もりが戻ってきた。

暫く無言で抱きしめられた後に顔を無理やり上げさせられた。





ぐちゃぐちゃな顔の私と目が合った彼は困ったように眉を下げていて、小さく呟く。











「、、今ここで言うつもりなかったんだけどな。こんな場所になったのは何も分かってない真由の所為だ。だから後で苦情は受け付けないから。」





その言い回しに別れの言葉だと覚悟を決めてギュッと目を瞑って次の言葉を待っているとヒヤリと冷たい感触が左手の薬指に感じた。

そしてその後に優しく唇にキスを落とされた。










触れるだけの長い長い優しいキスに戸惑いしかなく驚きで涙も止まる。


彼の唇が離れたのは暫く経ってからだった。








「、、涙は止まったな?じゃあ真由、目開けて。こっちを見て。」



その言葉に恐る恐る目を開けると真剣な表情をした彼が真っ直ぐとこちらを見つめている。


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