一途な彼は真面目で純粋で歳下で。《完結》
まるで夢でも見ているような感覚に陥る。
「、、どうして片瀬くんがここに、、、?」
『紗江さん、昔から雷が苦手だったでしょう?それなのに一人で飛び出して行ってしまって、、電話しても繋がらないので何かあったんじゃないかと焦りました。無事でっ、、、良かったですっ、、!』
キツく抱きしめられると彼も濡れていることに気付く。
「どうして、、片瀬くんも濡れて、、?」
『っ、、すみませんっ!許可もなく抱きしめてしまって、、っ。急いでいたもので傘をさして走るのが煩わしかったんです。そんな事よりもこっちの軒下に移動しましょう。』
焦ったように私の体を離すと顔を大きく背けて軒下へと手を引かれた。
そして彼は自分が着ていたコートを脱いで、その下に着ていたスーツの上着を濡れた私に掛けた。
『濡れた状態ではタクシーに乗る事もできませんから取り敢えずこれを着てください。それからタクシーを止めてきますからここで雨宿りしていて下さい。』
向けられた表情はとても優しくて、掛けられた彼のスーツも温かくてその優しさに涙が流れて、気付けば彼のコートに手を伸ばしていた。